TAG STATIONERY×サトウヒロシ 弁柄色

ご無沙汰しております。最近別のお仕事が忙しく絵をゆっくり描けておりません。といっても、そのお仕事も実は万年筆に関することなんですけれど。そちらの方もいずれご紹介できるといいなと思っております。

パイロットの特殊ペン先「フォルカン」を装着したスティロアート軽井沢様の木軸オリジナル万年筆「アガツマ」と、このブログ初の限定インクとなる「弁柄色」を合わせてみました。

このインクは、京都を中心に展開する文房具店「TAG」様のオリジナルブランド「TAG STATIONERY」と、デザイナーにして万年筆画家としても知られるサトウヒロシ様のコラボレーション企画品として製作されたものです。歴史ある草木染の英知を昇華させた独特な色彩が持ち味のインクと、万年筆と水筆を巧みに操り、インクの特性を引き立てながらこちらも独特の柔らかさを持った絵を描き上げるサトウヒロシ様の色彩感覚がブレンドされた、オリジナリティあふれるインク第一弾(?)がこの「弁柄色」です。
昨年(2017年)の発売され、瞬く間に売切れてしまいました。ところが今年(2018年)4月に東京で開催された個展「サトウヒロシ原画展」(主催:アンジェ ビュロー丸の内KITTE)で再販されていたところを思わずゲット。かくしてご紹介させていただくわけであります。

こちらでもご紹介していますが、「弁柄(BENGARA)」とは、インドのベンガル地方産出の酸化鉄を多く含む土が、古代より赤色の染料として良質であったことからその名がついています。弁柄は日本でも産出され、やはり身近な「赤」として重宝されました。色素としては安定していて、日光による退色がなく、天然素材であることから、近年はオーガニック製品の染色にも使われるようになったようです。

そんな由緒あるレッド「弁柄色」のインクはというと、濃い茶色です。赤みを帯びたやや暗めのブラウンをしています。こげ茶色というほど黒ずんでもおらず、赤褐色というほど赤くもない、一見するとシンプルなブラウンです。しかし、インクを多めに乗せた濃い部分は赤みが増し、極細の線のようなインク量の少ない部分はチョコレートブラウンのような枯れた感じになる特性を持っています。インクを伸ばすように描くと赤みがいっそう増して、赤茶色になります。
このブログでご紹介してきた中でも、特に茶色のインクは変色するものがいくつかありますが、このインクはそれが顕著のようです。
色の濃淡は基本的に濃いめの色調です。しかし、ところどころ見せる淡い部分が良いアクセントになり単調にならず、万年筆らしい筆跡になります。
インク自体はさらっとして水のようですが、TAG STATIONERYオリジナルインクの特徴である表面張力の強さがこのインクにも健在。筆に乗っているときは粘度があるようにみえて、紙に染まるときはスルッと染みこむ、独特の性質があります。にじみやすい「ファブリアーノ クラシコ」の用紙でもほぼにじまないのが本当にすばらしいです。

サトウヒロシ様の絵は、万年筆と水筆を併用して絵を描かれていますので、このインクも水で伸ばすことを前提として作られているのだと思われます。個展で拝見した絵は、同じインクを使用していても筆者の絵に比べてかなりソフトで、ミルクが混ざっているんじゃないかと思うくらいに明快なトーンでした。表現の幅が広いインクという印象です。
通販もされていますが数量限定生産のようですので、使ってみたいとお考えの方はお早めの確保を。

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