エルバン トラディショナルインク ムーンシャドウ

朝晩冷え込みますね。布団からなかなか抜け出せなくなりました。

パイロットの特殊ペン先「フォルカン」を組み込んだ木軸オリジナル万年筆「アガツマ」と、エルバンの筆記用インク「トラディショナルインク 」シリーズより「ムーンシャドウ」を合わせてみました。

原題の訳語は「ムーンダスト」。月の光が地球の大気中に存在する「塵(ちり)」に反射して、闇夜にうすらぼんやりと輝いて見えるイメージ、といったところでしょうか。
近代は夜でも煌々としていて、純粋な夜の闇自体を経験することがほぼないに等しいですが、満月かそれに近い月の光は意外と強くて、辺りに光源がない場所だと「薄明かり」を体験することができます。
数年前、東京と島根県出雲市を結ぶ夜行列車「サンライズ出雲」を利用した際、深夜の山々を縫うように走る列車の中で、一人ぼんやり寝台に寝転んで見上げた車窓の一面が、数多の星で埋め尽くされ、流れる木々の間から月明かりが差し込んできて車内を明るく照らしたのを、当時の感動とともによく覚えています。本当に貴重な体験でした……

さて、インクの色味はというと、暗めの紫です。やや青よりで、彩度が低めのパープルとなります。粉を吹くようなインクの乗り方をするのは、これまでご紹介してきたいくつかのエルバンのインクにも共通するものです。赤みの強いブルーブラックとも言えます。
色の濃淡はある程度表れます。基本的にはダークなグラデーションで、淡い部分はわずかに灰色みを感じます。インクを重ねるとほぼ黒になります。
インク自体はさらっとしています。これもエルバンの他のインクと似通ったものです。極細の線でも支障なく描けました。ただし、紙との相性が悪いのか、よくにじみます。

暗めの紫のインクは、意外と選択肢が少ないのではないでしょうか。落ち着いた色味ですので、ノートや手帳にガンガン使ってもよいでしょう。フォーマルすぎない適度な柔らかさも感じる色味ですので、手紙に使ってもあまり硬い印象にはならないと思います。常用したくなるインクですね。

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