細美研ぎ エルバン イナゴマメレッド

エルバン トラディショナルインク イナゴマメレッド

新しい万年筆を購入。なかなか珍しい材質の筆なので、いずれご紹介したいと思っています。 セーラーの特殊ペン先万年筆「プロフィット21 細美研ぎ」と、フランスの老舗メーカー、エルバンのトラディショナルインクシリーズより「イナゴマメレッド」を合わせてみました。 赤系のインクが充実しているトラディショナルインクでは、それぞれ異なるニュアンスのレッドを楽しませてくれます。 日本ではあまり耳にしない名の「イナゴマメ」は、地中海沿岸原産のその名の通りマメ科の植物。果肉に糖分が多く、サトウキビが利用される以前は、このイナゴマメから砂糖を精製されていたのだそう。またの名を「キャロブ(carob)」。特徴として比較的均一な大きさの種子を作ることから、宝石の重さ「カラット」の語源になったのだとか。英名で「Locust bean」といい、その訳がそのまま和名「イナゴマメ」となった模様。イナゴのような形をしているから、ということのようですが、筆者はイマイチ、ピンときません。 このインクのラベルにあるのはイナゴマメの葉だと思うのですが、鮮やかな赤色をしています。もしかして紅葉するのかな? とネット検索するも特段の情報は見当たらず。うーん。 種子自体は黒っぽいし、花は白だし、どうしてもラベルのような赤には結びつきません。どういうことなのでしょう? そんなこのインクの色味は、ラベルの通り、鮮やかな赤色です。一見原色に近いのですが、よく見ると何となく青みを帯びているような、若干クセのある紅色というべき色味をしています。似た色に「オペラレッド」がありますが、比較してみるとこちらのほうが赤みが強いです。 色の濃淡はほとんど表れず、のっぺりとしています。インクを重ねてもあまり濃くはならずに、あくまでレッドを誇示し続けます。それでも、そこまで彩度が高くなくて派手さを抑えているところがニクいです。 インク自体はサラサラしていて、インクフローもやや多めで安定。どんな筆にも合いそうな、良い意味で特長のないインクといえるでしょう。にじみもほぼありませんでした。 色のインスパイア元が釈然としませんが、落ちついた赤系のインクとして重宝しそうです。 これで、トラディショナルインクの赤系のインクはすべて網羅しました。同じレッドでもここまで細分化したラインナップはエルバンだけではないでしょうか。なにかこだわりのようなものが感じられます。
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TAG 京の音

TAG STATIONERY 京の音

とある写真から模写。世の中にはこんな幻想的な色遣いをした鳥もいるのですね。 使用したインクのご紹介はこちらから。 [blogcard url="https://lowtech-romantica.net/2018/04/15/fa15-saibi-kyonooto-nurebairo/"] [blogcard url="https://lowtech-romantica.net/2018/04/24/fa15-kyonooto-imayoiro/"] [blogcard url="https://lowtech-romantica.net/2018/05/01/saibi-kyonooto-kokeiro/"] [blogcard url="https://lowtech-romantica.net/2018/05/10/fa15-kyonooto-yamabukiiro/"] [blogcard url="https://lowtech-romantica.net/2018/05/18/saibi-kyonooto-aonibi/"] [blogcard url="https://lowtech-romantica.net/2018/06/30/saibi-kyonooto-azukiiro/"] [blogcard url="https://lowtech-romantica.net/2018/07/20/fa-kyonooto-hisoku/"] 京都発の文具店TAG様が発信するオリジナルブランド「TAG STATIONERY」のボトルインクシリーズ「京の音(KYO−NO−OTO)」は、平安時代より続く京都伝統の染物技術を紙の上で再現すべく、「京都草木染研究所」との共同研究により開発に成功した水性染料インクです。 2018年7月現在、全7色の展開。当初の5色に、限定色だった2色が定番化されました。その2色とも美しい色味で即売り切れだっただけに、いつでも手に入るようになったのは嬉しい限りです。 以前ご紹介したご当地インク「京彩」と同じく、基本は彩度が低めで渋めの色が揃っているのが特徴。唯一「今様色」が文字通り異彩を放っていて、アクセントとなっています。 その独特の色名称は、平安時代の人々の高度な色彩センスを示すと同時に、「秘色」「今様色」のような、現代では考えられないほど色使いが厳しく統制されていた時代背景や物語を垣間見ることができます。そんな思いを馳せながら使ってみるのもまた、このインクたちの楽しみ方のひとつですね。 インクそのものの特徴としては、トロみがほとんど感じられない水のようなサラリとした見た目に反して、表面張力が強く働くようで、万年筆に入れた際のインクフローは渋めです。その性質のためか、にじみやすい「ファブリアーノ クラシコ」の用紙でインクを乗せても一切それがなく、くっきりとした輪郭の線を引くことができます。 染料の粒子が細かいためか、紙の表面に粉っぽく残るようなことはなく、まさに「染める」が如くスッと紙に吸い込まれる感覚があります。この辺りも、「京彩」と同様です。 色の濃淡はよく表れるインクが多く、なんとも渋いグラデーションが見る人を楽しませてくれます。 生地を染めた染料たちが現代になって紙を染めるようになったのは、いわば世紀を超えたリバイバル。それを可能にしてみせたTAG様には感服せずにはいられないのです。... (続きを読む)

アガツマ TAG 秘色

TAG STATIONERY 京の音 秘色

暑い季節にピッタリの涼しげなインクをご紹介します。 パイロットの特殊ペン先「フォルカン」を組み込んだ木軸オリジナル万年筆「アガツマ」と、京都の文房具屋さん「TAG」が展開するオリジナルブランド「TAG STATIONERY」のボトルインクシリーズ「京の音」より「秘色(HISOKU)」をチョイス、合わせてみました。 京都を中心に展開しているTAG様は、京都の古き良き文化を取り入れた文房具のセレクトショップの中で、オリジナルのボトルインクを発売しています。京都の伝統的な染物技術を万年筆用インクに応用し、独自の染料インクの開発に成功しました。この「秘色」もそのひとつ。古から続く色を現代の技術によって紙の上で再現させてくれます。 秘色(ひそく、ひしょく)は、もとは青磁の磁器の色。中国の唐代の越(えつ)で作られた磁器が、平安時代に日本に伝わりました。天皇の食事の器として用いられ、民間での使用が禁じられたことから、青磁の異名として定着したのがこの秘色なのだそう。極淡い青緑色で、灰色がかっていながら透明感のある独特で不思議な色味をしています。供物として扱われたのですから、大層美しかったのでしょうね。 それを現代に再現したこのインクの色味は、暗い水色。やや緑かかった淡い藍色です。当時の染物の秘色は、藍色を浅めに染めたもので再現したようですが、このインクはどちらかといえば、磁器そのものの色味に似せています。透き通った藍ともいうべき沈んだ落ち着いた色を見事に再現されていて、他にはなかなか見かけません。 色の濃淡はよく表れます。基本的には淡い色味ですが、インクを重ねてかなり濃くすることもできます。雨が降る直前の空模様のような、朝もやのかかった山々のような、言い得ない色調が心落ち着きます。 水色とも、藍色とも、はたまたピーコックとも言えない独創的な色です。その神秘的とも言える色調に思わず見惚れること請け合いでしょう。何となく、秘色と呼ばれる意味がわかったような気がします。... (続きを読む)

細美研ぎ セーラー 若鶯

セーラー 四季織 十六夜の夢 若鶯

暑いですね~。一日中クーラーがないと生活できませんね…… 昼間の外出はなるべく避けて、朝夕の涼しい時間にすることにしましょう。 セーラーの特殊ペン先万年筆「プロフィット21 細美研ぎ」と、同メーカーのインクシリーズ「四季織 十六夜の夢」より「若鶯」を選び、合わせてみました。 もともと限定色として発売されたインクのひとつで、後に定番化したと記憶しています。人気の色でなかなか手に入りにくかったのを覚えています。 さて、この「若鶯(WAKAUGUISU)」という単語、辞書で引いてもネットで検索しても語源がわかりません。「鶯色」という色は古色として日本にありますが、「暗い灰黄緑色(大辞林より)」とあり、今回の色味と比較すると暗すぎますので別の色であると考えられます。 おそらく、インクの色味に合わせた造語なのではないかと思われます。「若草色」と「鶯色」のちょうど中間のような色。あるいは明るめの鶯色を体現しやすいように、フレッシュなイメージを持つ「若い」という単語を修飾したのかもしれません。ちなみに、同シリーズの「利休茶」が鶯色に近い色味をしています。 このインクの色味は、前述のとおり明るい鶯色。枯れた感じのする黄緑色です。鶯色よりも緑みがあり、かつ明るすぎない絶妙な明度で、視認性も申し分ありません。「抹茶色」や「モスグリーン」に類する色です。パイロットの「色彩雫 竹林」と比較すると、明度の違いが明確となります。TAG STATIONERYの「京の音 苔色」とよく似ていますが、こちらのほうが若干彩度が高めです。 色の濃淡は程よく表れます。インクを重ねると暗くなりますが黒っぽくはならず、それこそ苔が生えたようになります。 インク自体の粘度は、割とさらっとしています。ペン先への供給量は多くはありませんので、その点を期待しなければ細美研ぎのようなフローが絞られた筆でもまったく差し支えなく使用できます。ファブリアーノ クラシコのにじみやすい紙でもほとんどにじまずに描けました。 目に優しいグリーンで使いやすいのが人気の秘密でしょうか。手紙を書くにしても親しみやすく、程よいグラデーションでくどくならないのがよいですね。一本持っていると使用頻度が高くなりそうなインクです。
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アガツマ ファーバーカステル ガルフブルー

グラフフォンファーバーカステル ガルフブルー

引っ越し、無事完了。 新しい土地で、まったり生活できるといいな~ パイロットの軟筆調特殊ペン先「フォルカン」を組み込んだオリジナル木軸万年筆「アガツマ」と、ファーバーカステル伯爵シリーズのボトルインクより「ガルフブルー」を合わせてみました。 このインクは今年(2018年)夏に発売される新色の一つで、一部店舗で先行発売されていたものをゲットしました。近年怒涛の新色追加に、お財布が悲鳴をあげている所存。 「ガルフ」とは何か、手元の辞書で調べてみると、大きめの湾のことを呼ぶそうです。それに該当するものは日本には存在せず、通常単にガルフ(the Gulf)というとペルシア湾のことを指すらしいです。知らなかった…… ということは、色としては海のように澄んだ深いブルーを想像しますね。 で、実際の色味は濃い水色。青よりのスカイブルーです。赤よりでも緑よりでもない、原色の青に近い色をしています。彩度は高めですが文字を書くと濃く深くなりますので、あまり気になりません。パイロットの「色彩雫 天色」をわずかに濃くしたような色味です。 色の濃淡はよく表れます。インクを重ねるとかなり濃い色になる懐の深さが、ガルフブルーの所以なのでしょうか。空の色というよりは海の色。深い色味が楽しめます。 インク自体の粘度は標準的で、フローも特段多いわけではありません。特長のなさが特徴。それが一番いいのかもしれません。フロー自体は安定していて安心して使用できます。 青と水色の中間のような色味で、朱書きの代わりに使ってみるのもいいかもしれません。お値段が結構しますので手が出にくいですが、取りまわしがしやすいですので一本用意しておきたいインクです。... (続きを読む)

アガツマ エルバン アンティークブーケ

エルバン トラディショナルインク アンティークブーケ

梅雨で雨が降らなかった分、後からまとめて降ってくれたような気がしないでもない豪雨でした。浸水被害が大規模に起きていて、そこにさらに台風が接近してきているという状況は、自然災害大国日本の風物詩にしちゃ、ここ最近ちょいとやり過ぎです。 “エルバン トラディショナルインク アンティークブーケ” の続きを読む

細美研ぎ ファーバーカステル インディアレッド

グラフフォンファーバーカステル インディアレッド

私事ですが、引っ越しが迫っております。ちょっとやってみたいことがあって、そのための引っ越しです。 引っ越しの荷造りは正直、めんどくさいのですが仕方ありません。荷物が多いんだよな……これを機にちょっとだけでも断捨離しますかね…… 超極細の線が引けるセーラーの特殊ペン先万年筆「プロフィット21 細美研ぎ」と、ファーバーカステルの高級ライン、伯爵シリーズのボトルインクより「インディアレッド」をチョイスし、合わせてみました。 たまたま立ち寄った銀座伊東屋で先行発売されていたところを購入。早速試してみることにしました。 このインクの色名称インディアレッドは、おそらく「インディアンレッド(Indian red)」から着想を得てつけられたものと思われます。インディアンレッドは、古くから赤色の着色料として用いられ、インドのベンガル地方から産出される酸化鉄が多く含まれる粘土から生成されることから、「ベンガラ」「弁柄色」とも呼ばれる、黄味を帯びた濃いめのレッドです。 そんなインディアレッドの色味は、赤。原色のレッドです。弁柄色のように少々濃いめの色をしています。しかし、黄味はあまり感じず、かといって青味も少ない純粋な赤色をしています。同じ赤系統の「ガーネットレッド」と比較すると明るく快活な色ではありますが、程よい深さと彩度を兼ね備えた、伯爵シリーズのインクらしい落ち着いた印象があります。 色の濃淡はほとんど表れません。深めのレッドを淡々と紙に残していきます。インクを重ねると一回り濃くはなりますが、赤色を認識できる程度にとどまります。ピンク色っぽさが一切出ないので、フォーマルなイメージもあります。 インク自体の粘度は標準的で、フローも特段多くはありません。されども、シリーズのほかのインクと同様、フロー自体は安定していて癖がなく描きやすいのが良いですね。繊細な細美研ぎでもトラブル皆無で、安心するインクです。にじむこともありませんでした。 新色である3色すべて手に入れることができたので、このブログで随時ご紹介していきます。 グラフフォンファーバーカステルはここ近年インクの新色投入が続いていて、バリエーションがかなり増えました。新色3色を含めて2018年7月時点で全18色となります。インクブームの波に乗って、はたしてどこまで進むのでしょう…… 美しいくて優秀なインクを、これからも開発し続けて欲しいですね。... (続きを読む)

アガツマ エルバン アイランドカフェ

エルバン トラディショナルインク アイランドカフェ

画像の絵はキツネなのですが、見えますかね? なかなか難しそうな題材だなとは思っていたら、やはりそのとおりでした。 万年筆による表現技法に関しては、まだまだ研究しなければならないようです。 パイロットの特殊ペン先「フォルカン」を搭載した木軸万年筆「アガツマ」と、このブログでのご紹介もひとまずの終わりが見えてきたエルバンのシリーズ「トラディショナルインク」より、「アイランドカフェ」を合わせてみました。 スティロアート軽井沢様から購入したオリジナル万年筆アガツマは、いまだに購入当初の杉の香りを絶えず放ち続けています。リフレッシュできる良い香りです。 トラディショナルインクはラインナップとしてはめずらしく茶色が充実しており、それぞれ固有の色味が見てとれます。ボトルインクも30mlのほかに、少量でお財布にも優しい10mlのボトルが発売されていますので、様々な色を手に取りやすいのが嬉しいですね。 原題にもあるとおり、アイスランドはコーヒーが美味しい国でもあります。首都レイキャビクには、いたるところにカフェが点在し、一日中手軽にコーヒーが楽しめるまさにコーヒー好き&カフェ好きには天国のような場所です。 コンパクトでカラフルな古い街並みも素敵な雰囲気ですので、一度訪れてみたいところ。 このインクの色味は、ブラウン。少々濃いめの茶色です。まさにコーヒーの色で、絵を描くときのように素早く筆を動かすと浅煎りの明るめの色、文字を書くときのようにしっかり筆を置くと深煎りの濃いめの色といった具合に、表情が異なります。 色の濃淡は控えめ。基本的に濃いトーンですが茶色を感じられる濃さで、インクを重ねても黒っぽくなりません。トラディショナルインクの茶色のインクのなかでは明るめのインクと言えそうです。 インク自体は若干トロッとした感じがしますが、フローは多めで安定し、しかもエルバンのインクでは多くみられたにじみがほとんどありません。染料の成分によって異なるのでしょうか? それとも界面活性剤の含有量が多いとかでしょうか? いずれにしても、インク切れを起こすことなく気持ちよく描ききれました。 昨年(2017年)末に発売されたエルバンの高級ライン「ジャック・エルバン」のインクもご紹介したいのですが、日本で取り扱っているのが銀座伊東屋しかないようで、なかなか手に入れる機会がありません。もう少し展開してくれると助かるのですが、まだもう少し先かな……
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